最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)1180号 判決 1948年12月24日
主文
本件上告を棄却する。
理由
辯護人佐々木正泰の上告趣意第一點について。
「裁判官」という用語は憲法、国會法、裁判所法、刑訴應急措置法並に新刑事訴訟法等に於て見受けられる通り、判事、判事補等裁判の職務を行う官吏の総稱であるから、これを官名と認めることができる。從って所論の公判調書に「裁判官何某」と記載されているのは「判事又は判事補何某」と記載されているのと同じであって、これを以て、刑事訴訟法第六〇條第二項第二號所定の判事の官氏名の記載を缺くが故に無効であるということはできない。それ故に、右の公判調書を證據として採用した原判決を上記の理由によって違法であると主張する論旨は、採用することができない。(その他の判決理由は省略する。)
以上の理由により刑事訴訟法第四四六條に從い主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)